兵庫・淡路島福良で、日常にあったかさを連れて帰る旅。
ちょっとお疲れ気味だったここ最近。ふと、優しい時間で癒されたくなり、週末旅行を検討することに。いつか見た“淡路島には優しいサルがいる”というニュースを思い出し、金曜日の夜に「淡路島に行かない?」と彼に提案。「世界一優しいサルに会いに行くドライブ、おもしろいね」と彼も乗り気に。大阪から車で2時間、思い立つままに旅行できるのはとても嬉しい。
野生の“淡路ザル”たちが穏やかに過ごす、
モンキーセンター。
早速、お目当ての淡路島モンキーセンターへ到着。餌を夢中で食べ続けているサルや、日向ぼっこをしているサル…たくさんのサルたちが、自由気ままに過ごしている姿に、ホッコリ。ここは野猿公園として運営されていて、約350頭のサルたちが暮らしているらしい。
偶然センター長の延原さんに会うことができ、「淡路島のサルは世界一優しいってホントですか?」と質問してみると、「淡路ザルが優しいのは、長年の研究やデータでも証明されているんです。おそらくリーダーの優しさや寛容さが大きく関係しているんでしょうね」と語ってくれた。
偶然センター長の延原さんに会うことができ、「淡路島のサルは世界一優しいってホントですか?」と質問してみると、「淡路ザルが優しいのは、長年の研究やデータでも証明されているんです。おそらくリーダーの優しさや寛容さが大きく関係しているんでしょうね」と語ってくれた。
一般的なニホンザルの社会は、上下関係に厳しく攻撃性が高いので、普通ボスザルのこんな姿は見られないのですが…、と前置きをして延原さんが続ける。「淡路島で15年ボスザルを務めた“マッキー”は違ったんです。身体が不自由な子ザルの世話を懸命にし、弱いサルたちが群れから取り残されないよういつも配慮していました。」
私たちは、思っていた“ボスザル”のイメージとのギャップに驚いて聞いた。「そのときからずっと、淡路島のボスザルは優しいんですか?」
「実は、マッキーが亡くなった後の座についた身勝手なボスザルは、他のサルに危害を加えたり餌を奪ったりと身勝手な行動をとり、たった3ヶ月で失脚したんです。マッキーの“寛容さ”が群れに浸透していたせいで、仲間たちに信頼されなかったんでしょう。それから今に至るまで、ボスたちは平和主義で優しいマッキーのスタイルを伝承していますよ」
私たちは、思っていた“ボスザル”のイメージとのギャップに驚いて聞いた。「そのときからずっと、淡路島のボスザルは優しいんですか?」
「実は、マッキーが亡くなった後の座についた身勝手なボスザルは、他のサルに危害を加えたり餌を奪ったりと身勝手な行動をとり、たった3ヶ月で失脚したんです。マッキーの“寛容さ”が群れに浸透していたせいで、仲間たちに信頼されなかったんでしょう。それから今に至るまで、ボスたちは平和主義で優しいマッキーのスタイルを伝承していますよ」
寛容性が特別に高いという淡路ザルの話を聞いて、自分もつい余裕のないときは、不寛容な気持ちを持ってしまっていたかも…と少し反省。そんなときは、争うことなく仲良くご飯を食べている淡路島のサルたちの姿を思い出すことにしよう…とやさしい気持ちをお裾分けしてもらって、サルたちと別れを告げた。
天気もいいので、大浜海岸で散歩をすることに。時間も予定も特に決めていない旅の醍醐味だ。
到着時刻は夕方前。海辺に座って優しい波の音を聞いたり、風を感じたり。こんな時間も大切だなぁ、と思いながら優しい日差しに癒された。
天気もいいので、大浜海岸で散歩をすることに。時間も予定も特に決めていない旅の醍醐味だ。
到着時刻は夕方前。海辺に座って優しい波の音を聞いたり、風を感じたり。こんな時間も大切だなぁ、と思いながら優しい日差しに癒された。
半世紀続く幻のラーメン屋台「淡路軒」
駐車場に戻ると、なんと「淡路軒」の軽トラックを発見 ! 「タイミングが合わないと食べられない」とネットで見たところだったので、ここで出会えるなんて感激。
私は初めての屋台ラーメンに心が躍り、「ラーメン二杯ください ! 」と勢いよく話しかけてしまった。
私は初めての屋台ラーメンに心が躍り、「ラーメン二杯ください ! 」と勢いよく話しかけてしまった。
店主の鎌田さんに、ここにはいつも来ているんですか?と聞くと、「曜日で行き先は変えてて、大浜公園には土曜の17時〜18時頃かな。または23時頃。」とのこと。
また、出会わないと食べられないと思っていたけれど、昼間に電話で予約すれば出向いてもらえることもあるそう。「団体の予約で飲み会後の締めのラーメンを振る舞ったりね」の言葉に、思わず羨ましい ! と彼が言う。
また、出会わないと食べられないと思っていたけれど、昼間に電話で予約すれば出向いてもらえることもあるそう。「団体の予約で飲み会後の締めのラーメンを振る舞ったりね」の言葉に、思わず羨ましい ! と彼が言う。
半世紀以上、屋台ラーメンを続けられている鎌田さん。続ける秘訣は「続ける秘訣?自分に勝つことかな」と話す姿が、とても印象的でかっこよかった。
淡路島イチあったかい。
旅行者にも地元の人にも優しい居酒屋。
ホテルでチェックインを済ませた後は、フロントでおすすめしてもらった「居酒屋あや」さんへ。
お店に入ると「いらっしゃい ! 」と明るい声で、大将の坂東さんが迎え入れてくれた。今年で32年目を迎える地元の老舗「居酒屋あや」。ホテルのスタッフさんからは「大将のフレンドリーな接客に魅了され通う人も多いんですよ」と聞いていたので、会えるのを楽しみにしていた私たち。
お店に入ると「いらっしゃい ! 」と明るい声で、大将の坂東さんが迎え入れてくれた。今年で32年目を迎える地元の老舗「居酒屋あや」。ホテルのスタッフさんからは「大将のフレンドリーな接客に魅了され通う人も多いんですよ」と聞いていたので、会えるのを楽しみにしていた私たち。
私たちが大阪から来たと伝えると、「以前大阪のお客さんが、“淡路島は食べ物がすごくおいしくて、京都みたいな観光地よりコスパよくグルメを楽しめる穴場です ! ”って言ってくれたんですよ。おなかいっぱい食べてってください ! 」と話してくれた。日頃からお客さんとの会話を楽しんでいることが伝わる。
それからは、新鮮で分厚い食べ応え抜群のお造り、ふわふわのだし“茶碗蒸し”を目指しているというジューシーなだし巻き巻き玉子…絶品料理に舌鼓を打ちながらのの気さくなおしゃべりタイムに。地元の面白いお話、お子さんとのエピソード、毎年地方から必ず訪れていたお客さんとの思い出話…次々話が飛び出し、笑いが絶えなかった。こんなお店が家の近所にあったらいいのに、と二人で話をしながら店をあとにした。
ホテルへ戻って、満たされた気持ちで横になる。「淡路島って日帰りでも来れちゃうけど、泊まりで夜までゆっくり過ごすのっていいね」「何度も来たことあるけど、この楽しみは知らなかったなぁ」と、二人でゴロゴロしながら話した。
淡路ザルの寛容さや、淡路島の人たちの温かみに触れ、来る前よりも心がふかふかになったみたい。
淡路ザルの寛容さや、淡路島の人たちの温かみに触れ、来る前よりも心がふかふかになったみたい。
やさしい気持ちを持ちたいとき、そのやさしさを誰かに分けてあげたいときに、ふらりと行ける居場所ができた。また明日から頑張れそう――そう思いながら、眠りについた。