未来の巡礼旅の可能性を探る「熊野古道巡礼旅復活プロジェクト」

三重大台

熊野那智ガイドの会 生熊みどり氏
熊野川渡船
熊野川体感塾 三反帆

三重県大台町を舞台に活動されているNPO法人大杉谷自然学校

過疎高齢化が進む大杉谷地域で、自然や人、文化を活かした環境教育プログラムを提供しながら「地域の自然観や価値観」を次世代に伝え、「持続可能な新しい社会の創造」を目指している組織です。

そのNPO法人大杉谷自然学校が「熊野古道巡礼旅復活プロジェクト第一弾」を開催されるとの情報を耳にしたので、フェアフィールド・バイ・マリオット・三重御浜に宿泊し、参加してきました。

このプロジェクトは「伊勢路」と呼ばれる、伊勢神宮から熊野那智大社・青岸渡寺までの200kmを2週間かけて歩く巡礼旅。

伊勢路はかつて江戸時代に伊勢参りから熊野詣へ向かう道、また四国三十三ヶ所観音霊場巡りへと向かう道として多くの巡礼者が行き交ってきた道です。

丁度このプロジェクトの道中の宿泊先として、フェアフィールド・バイ・マリオット・三重御浜が組み込まれていたご縁があり、御浜から新宮までの1区間約14km程の距離をご一緒させていただきました。

天候にも恵まれ、出発点の御浜では目の前の七里御浜の海岸線を見ながら、心地良い日差しと海風を体に感じながら幸先の良いスタート。

何よりも自然に囲まれた環境の中、見える景色は癒しで溢れており、これだけ体全体で自然を感じながら長距離を歩く事ってなかなか非日常の体験です!

昔の人は意図的に日常的な生活空間から離れ、宗教の聖地や聖域に参詣して聖なるものに触れようとする行動を取る事を重要な儀礼としていたんだな...と考えながら、この長い道中をどんな思いを馳せながら歩いていたのだろう?と考えさせられたり...

景色の良い場所に出くわすと、歩みを止めて大きく息を吸い込んで自然を感じたり、通りすがる地元の方々とのちょっとした会話での触れ合いがあったりして、これも旅における一種の醍醐味だなと感じました。

御浜・新宮間の巡礼旅には途中「三反帆」という川船に乗って、世界遺産の熊野川を船で渡る工程も組まれていましたが、実際に「川の参詣道」として昔から使われていたそうです。

熊野川体感塾の代表で船大工の谷上嘉一氏が作り上げる三反帆は、熊野川流域の森林から調達されるスギ・ケヤキ・ヒノキ・カシなどが使われ、木の特徴によって使い分けて使用されるそうです。

最大の特徴は三反帆という名称の通り、3枚の帆を帆柱に掲げて熊野川に吹く独特の風を利用して進む船という事。

帆を掲げた瞬間、強い風を受けて川の流れに逆流するように風だけの力で進む船はとても不思議で、自然の風の力強さを改めて強く感じました!

熊野川には熊野速玉大社の境内の一部で、例大祭「御船祭」の祭礼の場となる島「御船島」があり、その周りをぐるりと回遊しながら進みます。

船上での川のゆらぎと風の音・鳥のさえずりを感じながら、目の前に広がるのは自然だけという何とも非日常な体験は、特別感しかありませんでした!

旅を進める中で、移動手段の1つとして敢えて徒歩を組み込んで、ゆったりする時間を作ってみるのも良いものですね。